2025.05.03

難病に関する最新動向(2025年5月3日調査)

はじめに

2025年4月に医療機関が発信した難病に関するニュースをSCUEL NEWSで収集し、その傾向や動向をまとめました。SCUEL NEWSは医療機関の公式ホームページからの最新ニュースをまとめており、リアルタイムに地域の動きをキャッチできる点が大きなメリットです。


注目トピック1:研究助成・制度的支援の拡大

難病分野の研究助成や医療体制への社会的支援が明確に進展。

  • 研究助成制度の動き
     岡山県の万成病院より、小林孫兵衛医学振興財団による2025年度の研究助成金の公募が告知された。対象は難病、生活習慣病、精神障害、老年病とされ、基礎・臨床研究への資金支援が明文化されている。
  • 診療環境の整備支援
     福岡県の三萩野病院では、JKA補助金によりCT装置を更新。これにより難病および希少難病の早期診断体制が強化された。

注目トピック2:希少・神経難病に関する研究成果

複数の大学・研究機関が難病の原因や治療技術に関する新知見を発表。

  • 三重大学
     消化管の先天性疾患であるヒルシュスプルング病に対し、ウコンの主成分「クルクミン」を術中使用する新手法を開発。がん治療への応用も示唆された。
  • 国立循環器病研究センター
     ミトコンドリア心筋症の進行にATF3という転写因子が関与していることを解明。モデルマウスと患者由来データを併用した分子メカニズム研究が報告された。
  • 関西医科大学
     MICON研究におけるサブスタディの結果が論文化。認知症やパーキンソン病、神経免疫疾患に関する新知見が神経内科領域で注目されている。

注目トピック3:経済的負担の軽減策

指定難病患者を中心とした医療費・食費・居住費に対する経済支援策が実施。

  • 明生病院
     2025年4月から入院時の食事療養費が改定され、指定難病患者は1食300円、一般患者は510円とされた。経済的負担軽減策として運用が始まった。
  • 八女リハビリ病院
     65歳以上の高齢者であっても、指定難病患者は居住費負担が発生しない旨の案内が行われており、制度の運用が徹底されている。

注目トピック4:専門施設の新設・人事による体制強化

  • 村上記念病院
     パーキンソン病や進行性核上性麻痺などの神経難病を対象にした神経難病センターを新たに開設。住み慣れた地域での支援体制を整備した。
  • 京都大原記念病院
     2025年4月に院長交代が行われた。前任の垣田医師は脳神経外科とリハビリテーション医療に注力しており、今後の診療継続性と新体制への注目が集まる。

まとめ(2025年4月)

観点主な動向
社会的支援研究助成金の募集や診断機器更新など、制度面での支援が進展。
研究・技術ヒルシュスプルング病・ミトコンドリア心筋症など、希少疾患研究が活発化。
経済的負担軽減指定難病患者に対し、食費・居住費の軽減策が運用開始または明文化。
医療体制難病診療センターの開設や人事交代による継続体制整備が各地で見られた。