希少疾患領域で難しい「情報提供先の見極め」
希少疾患は、専門医の少なさや診断の難しさから、製薬企業にとって「限られたリソースで、どの医療機関に情報提供すべきか」を見極めるのが非常に難しい領域です。
一方で、患者さんと最初に接し、「専門医への橋渡し役となる医療機関」を見つけられれば、適切な情報提供や連携提案ができる可能性は大きく広がります。
そこでSCUELでは、医療機関が患者さん向けに発信しているホームページの記載内容に着目しました。
もし希少疾患に関する記述があるとしたら、それは「関心がある」「診療上の判断に直面している」「より深い情報を求めている」というシグナルかもしれません。
東京都の「IgA腎症」記載状況を調査
指定難病の一つでもある「IgA腎症」について、東京都内の医療機関の記載状況を分析しました。
都内13,668施設のうち、ホームページを特定できた10,661施設を対象に、該当する記述の有無を確認しています。(2025年7月調査|使用したサービス SCUEL RD RESEARCH)
その結果――
▶ 東京都の医療機関の2%で「IgA腎症」の記載を確認
・病院:63施設(11%)
・診療所:140施設(1%)

▶ そのうち、「腎生検」の記載も確認できた医療機関は66%
・病院:95%
・診療所:52%

これは、単に疾患名を列挙しているのではなく、鑑別・診断プロセスに踏み込んだ説明をしている医療機関が一定数存在していることを示唆します。
どのような文脈で「希少疾患」が語られているのか?
▶ 病院の特徴:診療意欲・研究意欲の高さが伺える
診療科が専門分化している病院では、腎臓内科の対象疾患の中で、疾患の一般的な説明や、検査・治療方針などの記載が確認できました。
さらに、症例報告や治験といった、研究に関連する内容が多く見られたのも、病院の特徴と言えます。

▶診療所の特徴:初期兆候に関わる可能性が高い
診療所では腎臓内科に限らず、一般内科、耳鼻咽喉科、アレルギー科、小児科など幅広い診療科からIgA腎症に関する説明を確認 しました。
これは、健康診断の所見や初期症状をもとに受診する診療科においても、疾患を意識した説明を行う診療所が多い ことを意味します。

こうした診療所は、治療薬の処方に直接関与しない場合もありますが、地域医療においては 初期症状を呈する患者さんに最初に接し、専門医へ繋ぐ重要な機能 を果たしています。
希少疾患の診療連携に重要な医療機関を見つける
- どの病院が、どのような治療方針を掲げているか?
- どの診療所が初期兆候に敏感か?
- どの診療科が患者さんを拾い上げているのか?
こうした視点を持つことで、情報提供の価値を一段高めることができるのではないでしょうか。
SCUELでは、医療機関の発信情報を解析し、関心を可視化します
SCUEL RD RESEARCHでは、医療機関のホームページに記載された診療情報を解析することで、
- 関心度の高い医療機関の抽出
- 診療方針や対象疾患の把握
- 情報提供先の「優先順位づけ」
などを支援しています。
「自社領域で関心を持っている医療機関を探したい」「早期診断の入口となりうる医療機関を可視化したい」
そんなニーズがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。