【歯科】歯磨剤 ブランド別導入傾向

SCUELデータベースとWHITE CROSS社の協力によるアンケート集計結果に基づき、歯科医院の歯磨剤ブランド導入傾向について分析。主要3ブランド(A社/B社/C社)傾向をまとめました。(調査時点:2024年12月)有償版レポートでは、実際のメーカー名の開示と、上記を含む250項目以上のSCUEL歯科データベース項目と比較した結果が確認できます。

1.事業所・立地特性

ブランドAは関東で38.2%、近畿14.6%と、全国的にバランスよく導入されています。ブランドBもAとほぼ同様の傾向を示し、都市部を中心に安定した分布です。一方、ブランドCは関東で38.6%と最も高く、首都圏での導入割合が際立ちますが、近畿11.4%、九州5.2%と他地域ではやや低い割合となっています。いずれのブランドも大都市圏を中心に広く展開されており、地域による大きな差は見られませんが、ブランドごとにわずかな地域特性が見られます。

ブランドAブランドBブランドC
北海道・東北地方1.7%0.9%1.9%
関東地方38.2%38.2%38.6%
中部地方13.4%10.8%13.6%
近畿地方14.6%14.6%11.4%
中国地方10.0%8.8%6.3%
四国地方4.2%4.5%3.0%
九州・沖縄地方7.9%7.9%5.2%

2.医院運営規模

ブランドAは個人経営が59.0%と最も多く、1施設の医療法人と2施設以上の医療法人がそれぞれ約20%で構成されています。ブランドBは個人が57.3%、2施設以上を運営する医療法人が24.7%とやや多く、法人展開を進める医院での導入が目立ちます。ブランドCは個人経営が64.3%と高く、小規模運営主体での導入が中心です。全体として、個人経営医院の導入が主流である一方、ブランドBでは法人規模の拡大とともに採用が進む傾向が見られます。

ブランドAブランドBブランドC
個人59.0%57.3%64.3%
医療法人(1施設)20.1%16.9%17.1%
医療法人(2施設以上)20.1%24.7%17.1%

3.開設年数

ブランドAは開設11〜20年の医院が38.2%と最も多く、幅広い年数層で導入されています。ブランドBは11〜20年の医院が46.1%を占め、3ブランドの中で中堅クラスの医院での導入が最も高い傾向です。一方、ブランドCは開設10年以内が32.9%、31年以上も20.0%と、比較的若い医院と長期開設医院の双方で導入が見られます。全体として、ブランドBは中堅層、ブランドCは新設および老舗層、ブランドAは中間的なバランス型といえます。

ブランドAブランドBブランドC
開設年数:10年以内31.3%28.1%32.9%
開設年数:11-20年38.2%46.1%28.6%
開設年数:21-30年13.9%12.4%18.6%
開設年数:31年以上16.7%13.5%20.0%

4.歯科医師数・従業員数

ブランドAとBはいずれも常勤歯科医師が1名の医院が約6割を占め、2名以上の複数体制をとる医院は4割前後です。ブランドCも同様の傾向ですが、1名体制が61.4%とやや高く、個人運営型の構成が多いと考えられます。歯科衛生士数では、ブランドCが3名以下37.1%と他ブランドよりやや多く、小規模チームでの導入が中心です。全体的に、3ブランドとも中規模以下の医院での採用が主流で、特定の規模層への偏りは見られません。

ブランドAブランドBブランドC
常勤歯科医師:1人59.7%59.6%61.4%
常勤歯科医師:2人以上40.3%40.4%38.6%
歯科衛生士:3人以下33.3%31.5%37.1%
歯科衛生士:4人以上24.3%24.7%21.4%

5.歯科チェアユニット数・医院規模

ブランドAはユニット4台以上の医院が56.3%と過半数を占め、比較的規模の大きい医院での導入が多い傾向にあります。ブランドBも4台以上が52.8%と同様の傾向を示しており、中規模から大規模医院への展開が進んでいます。一方、ブランドCは3台以下が52.9%と他ブランドより高く、小規模医院での導入が中心です。全体的には、A・Bがやや大型医院志向、Cは小規模医院志向の構成が見られます。

ブランドAブランドBブランドC
ユニット数:3台以下43.8%47.2%52.9%
ユニット数:4台以上56.3%52.8%47.1%

6.院長年齢(管理者年齢)

ブランドAは40代が34.0%と最も多く、次いで50代21.5%と中堅層を中心に構成されています。ブランドBは40代37.1%に加え、40歳未満も21.4%と若手層の比率が高く、比較的若い世代での導入が目立ちます。ブランドCは50代31.4%、60代14.3%と中高年層が中心で、経験豊富な医院での採用が多い傾向です。全体として、Aは中堅、Bは若手、Cはベテラン層に強みが見られます。

ブランドAブランドBブランドC
40歳未満13.9%21.4%15.7%
40代34.0%37.1%25.7%
50代21.5%22.5%31.4%
60代13.9%10.1%14.3%

歯磨剤ブランド別傾向(まとめ)

ブランドA
全国的にバランスよく導入されており、関東・近畿を中心に中規模以上の医院での採用が多く見られます。個人経営医院が6割近くを占め、開設11〜20年の中堅層が中心です。ユニット数4台以上の構成比が高く、一定の規模と経験を持つ医院で安定して選ばれている傾向があります。中堅層を中心に幅広く支持されるブランドです。

ブランドB
関東・近畿での導入が多く、複数施設を運営する医療法人での採用がやや高い傾向があります。開設11〜20年の医院が4割超を占め、中堅クラスの運営層に支持されています。若手院長の割合も比較的高く、成長期の医院に導入されやすい特徴があります。中規模から大規模医院を中心に、幅広く展開されるブランドです。

ブランドC
関東での導入がやや高く、個人経営医院が6割超を占めています。ユニット数3台以下が過半を占め、小規模医院での導入が中心です。開設10年以内と31年以上の医院での構成比が高く、新規開業や長期運営医院の双方に浸透しています。50代・60代院長が多く、経験豊富な層に支持される傾向が見られます。

総括:今回の分析から、ブランドA・B・Cの導入傾向には明確な違いが見られましたが、そこには単なる地域差や医院規模では説明しきれない医院の価値観が強く影響していると考えられます。ブランドAが最も広く浸透している背景には、汎用性や説明のしやすさといった診療の標準化との相性があり、多様な患者層を抱える医院ほど採用しやすい特徴があると推測されます。一方、ブランドBは個人医院に多く導入されていることから、院長個人のこだわりや患者との距離感の近さが製品選定に反映されやすく、価格感・テクスチャー・使用感など医院らしさを打ち出したい医院が選んでいる可能性があります。ブランドCは法人・大規模医院での採用が比較的多く、これはスタッフ教育のしやすさや複数拠点での統一運用、ディーラーとの関係性など運営の仕組みとの相性が導入背景にあると考えられます。

さらに地域差は、院長年齢や医院規模だけでは説明できず、地域ごとのディーラー網・学会や勉強会の開催エリア・メーカー営業の重点地域 といった外部環境が影響していることが推測されます。また、今回の傾向は物販を積極的に行う医院の特徴とも一部重なっており、歯磨剤の選定は医院がどこに価値を置いているかの現れでもあります。つまり、歯磨剤の導入傾向を読み解くことは、単なる製品比較ではなく、医院の経営スタイル・患者教育の方針・地域医療の文化までも映し出す鏡 といえるでしょう。

本レポートは一部抜粋です

有償版では、実際のメーカー名の開示と、上記を含む250項目以上のSCUEL歯科データベース項目と比較した結果が確認できます。

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