1. 調査背景
2024年以降、GLP-1受容体作動薬をはじめとした肥満症治療薬が相次いで臨床試験や承認が進み、医療現場でも肥満症治療への注目度が高まっています。
医療機関が公式ホームページ上で発信する情報は、診療方針や集患戦略を反映する重要なインジケーターとなります。本調査では、ホームページ上に指定のキーワードが出現するかを検知して発信内容を解析する当社サービス「SCUEL RD RESEARCH」を活用し、こうした動きを可視化することで、製薬企業や医療関係者に役立つ市場トレンドを明らかにすることを目的としました。
2. 調査概要
●調査対象施設:東京都内に所在し、当社が調査対象URLを保有する医療機関
2025年3月:10,532施設/2025年7月:10,636施設
●調査手法:web調査(医療機関ホームページ)
●調査期間:2025年3月・7月
●対象キーワード:「肥満」「ダイエット」「GLP-1」「肥満症外来1」「医療ダイエット2」
*1:「肥満症外来」「肥満外来」の2キーワードを含む
*2:「医療ダイエット」「メディカルダイエット」「GLP-1ダイエット」「ダイエット外来」「GLP-1メディカルダイエット」を含む
●分類方法:3月・7月の2時点で施設ごとに出現状況を比較し、
・新規出現(3月はなし・7月に出現)
・継続(両時点で出現)
・消失(3月のみ出現・7月は非出現)
・なし(両時点でなし)
の4区分に分類
●補足データ:施設別のメディカルスタッフ数をSCUEL DBより付与し、特徴を分析
・糖尿病専門医、内分泌代謝科専門医、循環器専門医(出典:医療情報ネット、2024年4月公開時点)
・常勤管理栄養士(出典:令和5年度病床機能報告)
3.主な調査結果
各調査時点で、いずれか一つでも検知した施設は、3月では4,072施設、7月では4,168施設でした。2時点のいずれか一回でも、一つ以上のキーワードが検知された施設は、計4,297施設となりました。
キーワード別の検知施設数
「肥満」 : 3月 3,565施設 → 7月 3,650施設
「ダイエット」 : 3月 1,948施設 → 7月 2,036施設
「GLP-1」 : 3月 779施設 → 7月 865施設
「肥満症外来」 : 3月 129施設 → 7月 155施設
「医療ダイエット」: 3月 376施設 → 7月 423施設

3-1.「医療ダイエット」「肥満症外来」の情報発信が増加傾向
- 「医療ダイエット」「肥満症外来」に関する記載を新たに始めた施設の割合が大きくなっています。
- 一方、「肥満」「ダイエット」「GLP-1」は出現施設が一定数あるものの、新規出現率は相対的に低く、肥満診療における母数の変化は限定的だと考えられます。
- 「GLP-1」は、新規出現施設より消失施設の方が多くなっていました。

3-2.「肥満症外来」検知施設は専門スタッフ体制が充実
- 7月時点で「GLP-1」「肥満症外来」が検知された施設は、非検知施設に比べて、特に常勤管理栄養士や循環器専門医を多く配置している傾向が見られます。
- 適切な患者選定と専門的な診療を意識した情報発信である可能性が高く、製薬企業にとっても重要な施設であると言えます。


- 一方で、「医療ダイエット」を検知した施設は、非検知施設に比べて各種専門医数、常勤栄養士数が有意に少ない傾向にありました。
- 「医療ダイエット」は肥満症治療体制が整備されていない施設における広報ワードとして、HPに記載している可能性が示唆されます。

3-3. 「医療ダイエット」記載施設は自費診療との関連が強い
医療ダイエットは、自費診療の下で行われている可能性が考えられます。そこで、ホームページ上の情報から、自費での肥満症治療に関する情報発信を読み取れるか、大規模言語モデル(LLM)を用いて解析しました。
具体的には、7月時点で「肥満症」もしくは「医療ダイエット」に関する記載が確認できた施設を対象とし、「自費診療で肥満症治療を行っているか(している/していない/不明)」を判定しました。
その結果、全体では29.5%にあたる315施設が「自費診療を行っている」と判定されました。

この315施設の中で、約6割の施設では美容系科目(美容外科または美容皮膚科)の標榜が届け出られていないことから、美容関連施設以外でも自費診療に関して情報発信をしていることが分かります。

- 自費診療との関連度が高い「医療ダイエット」施設
- 医療ダイエット関連キーワードあり施設(n=423)
- 実施している割合:266/423 ≈ 63%
医療ダイエットと記載する施設の多くは、実際に自費診療で肥満症治療を実施している可能性が高いと考えられます。
- 「肥満症外来」検知施設も、自費診療を行っている可能性あり
- 肥満症外来キーワードあり施設(n=155)
- 実施している割合:70/155 ≈ 45%
「肥満症外来」に関する記載がある施設では、「医療ダイエット」検知施設より割合は低いものの、自費診療との関連性が示唆されます。

※AIの判定結果は必ずしも正しいことを保証するものではありません。
4. インサイトと活用可能性
医療機関のホームページ情報を活用することで、保険診療中心の施設と、自費診療に関する情報発信をしている施設を俯瞰的に把握することが可能となります。これにより、製薬企業のマーケティング活動においては、適応内使用の観点で注力すべき施設群を効率的に抽出できるほか、市場全体の変化を定量的にモニタリングできます。
ぜひ、SCUEL RD RESEARCHをご活用いただき、貴社のご活動にお役立ていただければ幸いです。
なお、本調査は診療方針を評価するものではなく、公開情報を客観的に分析した結果である点にご留意ください。
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施設単位でのキーワード出現状況、スタッフ体制、診療情報などをより深くご覧いただけます。
【レポートに含まれる内容】
1.施設別データサンプル:東京都港区のキーワード検知施設と、出現状況変化のリスト
2.市区町村MAP:東京都の市区町村別の出現状況変化を可視化
※2025年8月時点現存施設に限る
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