歯科医院はホームページを持っていると何が違うのか?3.5万施設データから見えた傾向

全国には現在、約6万7千件の歯科診療所があります。

そのうち半数以上にあたる約3万5千件が公式ホームページを保有していることをご存じでしょうか。
近年、歯科医院のホームページは単なる「診療案内」や「医院紹介」を超え、患者との接点や医院の特徴を伝える大切な役割を果たしています。

では、ホームページを持つ歯科医院と、持たない歯科医院ではどのような違いがあるのでしょうか?
3.5万件という大規模データを分析した結果、診療科目・診療体制・経営規模・院長世代などにおいて、明確な傾向が見えてきました。

本記事では、その分析結果をわかりやすく整理し、「ホームページを持つ歯科医院にどのような特徴があるのか」をデータから読み解いていきます。

1.都市部の歯科医院はホームページ保有率が高い

分析の結果、都市部ほどホームページを保有する医院の割合が高いことが分かりました。

  • 東京都HPあり 約5,900件(18.2%)、HPなし 約4,400件(13.6%)
  • 地方圏(長野・茨城・福島など):HPを持たない医院が多数派

背景として、都市部では競争が激しく「情報発信による差別化」が必要とされるのに対し、地方部では口コミや地域密着で十分に患者を獲得できることが挙げられます。

➡ 都市部では「HPの有無=医院の集患戦略や成長意欲の指標」となりつつあり、今後は「持っていて当たり前」の時代に移行するでしょう。

2.高度な診療や最新設備と相関

ホームページを持つ医院は、先進的な診療体制や設備を整えている割合が顕著に高いことも明らかになりました。

  • 施設基準
     医療安全対策加算:HPあり 71.2% vs HPなし 37.6%
     感染対策加算:HPあり 71.0% vs HPなし 42.6%
     光学印象(口腔内スキャナ):HPあり 28.5% vs HPなし 6.8%
  • 治療実績
     成人矯正対応:HPあり 27.1% vs HPなし 12.9%
     顎関節症治療:HPあり 35.4% vs HPなし 27.7%
     埋伏歯抜歯:HPあり 35.7% vs HPなし 29.2%

➡ 最新の基準や技術を取り入れる医院ほど「それを患者に伝える手段」としてHPを重視していることが分かります。

3.矯正・口腔外科・小児歯科に強い

標榜科目を比較すると、専門性の高い診療科でHP保有率が特に高い傾向が出ました。

  • 矯正歯科:HPあり 59.9% vs HPなし 31.5%
  • 口腔外科:HPあり 60.7% vs HPなし 31.3%
  • 小児歯科:HPあり 82.2% vs HPなし 61.4%

また、成人矯正や埋伏歯抜歯といった高度処置の実績がある医院も、HPを持つ割合が高い結果です。

➡ 患者が情報収集を重視する領域では、医院も「専門性を発信し差別化を図る」目的でHPを活用していると考えられます。に情報発信している医院」である傾向が強いといえます。

4.経営規模が大きい医院ほどHPを保有

経営規模とHPの有無にも明確な関係が見られました。

  • 常勤歯科医師2名以上:HPあり 34.0% vs HPなし 19.8%
  • チェアユニット4台以上:HPあり 78.3% vs HPなし 55.2%
  • 1日平均外来患者30名以上:HPあり 33.7% vs HPなし 14.9%

一方で「個人開業(法人格なし)」の医院ではHPを持たない割合が80.9%と高い水準です。

➡ 大規模医院はスタッフや設備を活かすためにHPを戦略的に活用し、小規模医院は地域密着で患者を集める傾向が強いといえます。いるといえるでしょう。

5.若手院長の医院はHP保有率が高い

院長世代別に見ると、若手世代でHP保有率が高いことが分かりました。

  • 40歳未満:HPあり 12.0% vs HPなし 3.4%
  • 40〜44歳:HPあり 11.9% vs HPなし 3.2%
  • 45〜49歳:HPあり 13.0% vs HPなし 5.3%

一方で、70歳以上の院長が経営する医院ではHPなしが18.3%と高く、世代差が際立ちます。

➡ 新しい医院や若手院長ほどデジタル広報を必須と考え、開業と同時にHPを整備していることが背景にあります。

まとめ:ホームページは「医院の成長度」を映す鏡

3.5万件のデータから見えてきたのは、ホームページは単なる宣伝媒体ではなく、医院の診療水準・専門性・経営規模・経営者世代を反映する指標であるということです。

いまやホームページの有無は、医院の姿勢や成長意欲を如実に映し出す存在。
今後は「ホームページを持つ=当たり前」であり、それをどう活用するかが医院の未来を左右するといえるでしょう。

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